帰化申請はどのくらいの確率で許可されるの?【許可が下りる確率は…〇〇%!】

帰化申請をして日本国籍を取得したい!と思ったとき、まず考えるのが“どのくらいの確率で許可されるの?”ということだと思います。

 

実際、帰化申請する方の中には、

“帰化申請って何だか難しそう…”

“ほとんど許可されないんじゃないか…”

と、不安に思っている方が多くいらっしゃいます。

 

ちなみに、帰化申請のためには、書類集めや書類作成など多くの時間を割く必要があります。もし許可される確率が極端に低いのであれば、あえて時間をかけてチャレンジしたくはないですよね…。

 

そこでこのページでは、“どのくらいの確率で帰化申請許可が下りているのか?”を、許可が下りなかった人の事例なども交えながらお伝えしていきたいと思います。参考になれば幸いです。

帰化申請許可が下りる確率は…〇〇%!

まず初めに、一番気になる「申請許可が下りる確率」を実際のデータで見ていきましょう。

以下は、平成25年から平成29年までの過去5年間のデータです。(単位:人)

年号 申請者数 帰化許可者数 不許可者数 許可の割合
合計 韓国/朝鮮 中国 その他
平成25年 10,119 8,646 4,331 2,845 1,470 332 85%
平成26年 11,337 9,277 4,744 3,060 1,473 509 81%
平成27年 12,442 9,469 5,247 2,813 1,409 603 76%
平成28年 11,477 9,554 5,434 2,626 1,494 607 83%
平成29年 11,063 10,315 5,631 3,088 1,596 625 93%

参考元:法務省(帰化許可申請者数,帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移)

 

大体、毎年1万人強の方が帰化申請をされていて、そのうち8割~9割の方に申請許可が下りているんですね。そう、意外と多いんです。筆者も実際のデータを見て“案外通るんだな”という印象を受けました。

 

ちなみに平成29年(2017年度)は、許可が下りている確率が93%となっており、帰化申請すれば“ほぼ通る”状態になっています。

 

「国籍を取得する」という一大イベントにも関わらず案外サクッと通ってしまいそうに“見えますが”、だからと言って安心はできませんよ。

 

【注意!確率が高いからと言って安心はできません】

さて、先ほどのデータを見て、“なんだ、意外と高いじゃん。私でも通りそう”と思った方もいるのではないでしょうか?

 

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。

それは、“このデータは実際に法務局に申請した人の数だということ

 

つまり、帰化申請の要件を満たしてきっちり書類も揃え、申請するまでに至った人の人数だけカウントされているのです。

逆に言うと、帰化申請の要件を満たすことができず泣く泣く申請を諦めた人の数は、この中には入っていないのです。

 

何だか急に難しそうに思えてきましたね。笑

 

とりあえず、帰化申請をする上で覚えていてほしいことは以下の2つです。

・帰化申請の要件を満たすこと

・必要な書類をそろえること

 

これらは大大大前提で、この2つが揃って初めて「帰化申請」することができるのです。しかし、要件を満たして書類が揃い、実際に申請することができても、約1割~2割の人は許可されていないのです。

 

やはり、国籍を取得するということはそう簡単なことではないんですね。とはいえ、あまり不安がらなくても大丈夫です。

 

次項では、申請許可が下りなかった人の例を一緒に確認していきましょう。失敗事例を知っておくだけでも、申請する上で役に立つことがありますよ!

申請許可下りなかった人の事例

ではさっそく、帰化申請許可が下りなかった人の失敗事例をざっくりと見ていきましょう。

書類に虚偽の記載をしていた。

面談で話す内容は録音されます。また、審査段階で裏付けを取るため、虚偽の記載はすぐにバレます。

納税義務を怠っていた。

年金や住民税などの税金に滞りがある場合、許可が下りることはまずあり得ません。

日本に5年以上住んでいるが、就労して3年以上経過していなかった。

アルバイトではなく、就労系のビザで3年以上働く必要があります。

結婚生活が良好ではなかった。

日本人の配偶者であれば「特別帰化」で申請できるため、「居住要件」が5年から3年に緩和されますが、夫婦関係は良好でない場合は要件の緩和が難しくなります。ちなみに、「普通帰化」であれば申請可能ですが、5年以上日本に住む必要があります。

自営業者で過少申告していた。

社長や個人事業主の方は、節税をしている方が多いと思います。しかし、過度に経費を計上して申告し、利益を少なく見せようとするのはNGです。

帰化申請に影響を及ぼす交通違反が過去にあった。

駐車違反などの軽い交通違反であれば、基本的には大丈夫です。(過去5年間に4~5回が限度と言われています)しかし、死傷者が出るような大きな交通事故であれば、帰化申請は難しくなるでしょう。

帰化申請後に安定した生活を送れる収入や貯金がなくなった。

帰化申請したときは安定した貯金があった場合でも、帰化申請後に生活状況が変わる場合も大いにあり得ます。帰化許可が下りるまでは約半年~1年ほどかかるため、申請する前に、生活資金に余裕があるか把握しておきましょう。

帰化申請後に生活状況が変わり、帰化要件を満たさなくなった。

例えば、帰化申請後に急に海外出張が決まり、90日間連続で日本から出国する場合、帰化申請の要件である「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という居住要件を満たせなくなるため、帰化許可は下りません。また、この場合は滞在期間が一度リセットされてしまうため、また1年目からカウントし直す必要があります。

法務局から追加書類を求められたのに、提出できなかった。

審査段階に入ると、追加書類を求められることがあります。“何かおかしかったかな?”と不安になる方もいますが、ただ単に追加情報を知りたいというだけなので、素直に提出すれば問題ありません。ただし、求められた書類を提出できない場合は帰化許可が下りにくくなります。

 

上記に記載している事例は一部なので一概には言えませんが、不許可になる方は、書類の内容に嘘がある場合や、帰化申請中に何らかの事情で帰化要件を満たせなくなる場合が多いようです。

帰化申請が不許可にならないようにするためには?

帰化申請には多くの時間がかかるため、できるだけ一発合格したいですよね。ということで最後に、許可が下りる確率が上がるポイントを2つ確認していきましょう。

ポイント1:税金年金の納税状況を確認

事例にもあったように、一番引っかかりやすいところが「納税状況」です。もし未納の税金がある場合は、帰化申請する前に支払いを済ませておきましょう。

目安

・住民税…最低直近2年分

・国民年金、厚生年金…最低1年分

ポイント2:早い段階で書類を揃える

帰化申請に必要な書類は、以下のとおりかなり多いです。

 

必要書類一覧
本国や日本の役所で取り寄せる書類 帰化する本人が作成する書類
住民票の写し 帰化許可申請書
国籍を証明する書類 親族の概要を記載した書類
親族関係を証明する書類 帰化の動機書
納税を証明する書類 履歴書
収入を証明する書類 生計の概要を記載した書類
公的年金保険料の納付証明書 事業の概要を記載した書類

 

ちなみに、“各1枚ずつ、12枚だけ揃えたらいいんだ!”と思ったら大間違いですよ。かなり大まかに記載しているだけで、それぞれの書類で「その1・その2」があったり、自営業者であれば、納税関連の書類だけでもかなりの数になるでしょう。

 

用意する書類の多さに、帰化申請を断念したという方もいるくらいなので、時間があるときにまとめて書類を揃えた方が良さそうです。

 

また、筆者の意見ですが、行政書士事務所に依頼するというのも一つの手です。もちろんお金はかかりますが、必要書類はすべて法務事務所側が行ってくれるため、時間を大幅に削減することができます。“自分でやると何か不許可になりそうだな…”と自信がない方は、思い切って行政書士事務所に依頼しましょう。費用の目安は約15万~20万円です。

まとめ

今回は、帰化申請の許可が下りる割合をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

 

記事の内容からも分かるとおり、案外高い割合で許可が下りていることがお分かりいただけたかと思います。

必要な要件を満たしてきちんと書類を揃えれば、落ちることはほとんどありません。現在帰化申請を検討している方は、ぜひこの機会にチャレンジしてみてくださいね。