【帰化】と【永住】 2つの違いと許可のポイント
帰化と永住の違いは何なのでしょうか。
どちらも似たような意味に思えますが、実際の中身は色々と違います。ここでは、帰化と永住の違いやそれぞれの許可のポイントなどを徹底解説していきたいと思います。この違いを理解しておくことで、自分にはどちらが合っているのか判断しやすくなりますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
帰化・永住とは?
まずは簡単に、「帰化」と「永住」の意味を理解しておきましょう。
帰化とは
帰化とは、「外国人が日本国籍を取得して日本人になること」です。日本は多重国籍を認めていないため、その名のとおり日本人になります。
永住とは
永住とは、永住ビザを取得して「国籍はそのままで日本に住み続ける資格を持つこと」です。
どちらも日本に住み続けることに変わりはありませんが、帰化の方がかなりの覚悟が必要だということはお分かりいただけたかと思います。次項では、帰化と永住の違いをもう少し詳しくご説明していきたいと思います。
帰化と永住の大きな違いは5つ
帰化と永住の大きな違いは、以下の5つです。
帰化 | 永住 | |
---|---|---|
在留資格の手続き | 不要 | 必要 |
就職 | 制限なし | 一部制限あり |
参政権 | 持つ | 持たない |
日本国内からの退去 | 対象にならない | 対象になる |
母国への帰国 | 手続きが必要 | 問題なくできる |
では、一つずつ解説していきたいと思います。
1.在留資格の手続き
外国人の方が日本に住む場合、在留カードを持つことで在留資格を得ることができます。なので、外国人として生活していく「永住」の場合は、在留カードの更新などの手続きが必要になります。
一方「帰化」の場合は、日本人になるわけなので在留カードは必要ありませんよね。帰化申請の許可が下りた時点で、在留カードは返却することになります。
2.就職
「帰化」の場合、日本国籍を取得して日本人として生活していくので、職種などに制限はありません。公務員を含め、どの職業にも就くことができます。
対して「永住」の場合は、国籍はそのままなので外国人として生活していくことになります。そのため、一部の職種には就くことができません。例えば外交官や政治家、公安委員や教育委員などは日本国籍が必要なため、「永住」の方は就くことができません。
原則としてどちらも職種が制限されることはないのですが、やはり日本の政治に直接関わりそうな職種に、外国人が就くのは難しいということです。
3.参政権
「帰化」すると、すべての選挙に対して投票することができます。また、議員として立候補することも可能になります。
一方、「永住」の場合、参政権は認められていないので、残念ながら選挙で投票することはできません。
4.日本国内からの退去
「帰化」の場合、日本国籍を取得して日本人になるため、日本国内からの強制退去はありません。何か犯罪を起こした場合は、日本の刑務所で、日本の法律で裁かれることになります。
対して「永住」の場合、法律違反などがあった場合、強制退去の対象になります。また、強制退去の対象となった場合、犯罪にもよりますが永住の許可が無くなる場合もあるので注意が必要です。そもそも犯罪をしなければいい話なのですが、「帰化」と「永住」ではこんなにも処分が変わるんです。一応、頭の片隅においておきましょう。
5.母国への帰国
「帰化」をした場合、日本人として見なされるため、母国に帰国するためには外国人としての手続きが必要になります。自分の生まれた国なのにわざわざ手続きをしなければならないなんて、何だか変な感じがしますが、国籍が変わるということはそういうことです。ただ、日本国籍を取得するということは、日本のパスポートで外国に出国できるということです。帰化した人の中には「日本のパスポートを持っていたから出国がスムーズにできた」という声もあるので、そういった意味ではメリットと捉えられるかもしれませんね。
ちなみに「永住」の場合、このような手続きは必要ありません。国籍がそのままなので、当然母国へ帰国することができます。
帰化と永住、それぞれの許可のポイントは?
それぞれの違いが分かったところで、「帰化」と「永住」の許可のポイントを分かりやすく解説していきたいと思います。
帰化許可のポイント
帰化許可のポイントは、以下の3つです。これらのポイントを抑えれば、許可される可能性がグンっと上がるので、事前にチェックしておきましょう。
ポイント1:申請書の内容と記載内容
一番大事なポイントは、申請書の内容と記載された内容です。
帰化申請する際に提出する書類には、「市役所などから取り寄せる書類」と「自分で作成する書類」があり、提出した書類の内容を参考に面談が行われます。この面談で記載した内容と矛盾するようなことを言うと、許可が難しくなります。
また、審査中は、書類の内容や面接で言った内容が本当に合っているのか裏づけを取ることがあるので、少しでも嘘があればバレてしまいます。すべて合わせるとかなりの書類数ですが、記載内容に間違いがないか入念にチェックしてから申請するようにしましょう。
ポイント2:日本語の能力
日本語の能力は、法務局の面談のときに判断されることが多いです。堪能な日本語でないといけないということはありませんが、日本人として生活していく上で最低限の(おそらく小学校低学年レベル)日本語能力は必要です。
特に日本は英語が通じないところが多いため、必然的に日本語能力は上がると思いますが、もし現時点であまり日本語を話せないのであれば、簡単な文章から少しずつ勉強して小学校低学年レベルまで持っていけるようにしましょう。
日本語能力が高ければ、日本に住み続ける意思があると見なされ、素行要件も同時にクリアできる場合があります。
ポイント3:法律を守るかどうか
法律を守ることも重要なポイントです。日本側としても、あえて犯罪歴や交通違反の多い外国人を帰化させたくはないですよね。普通に生活していれば大丈夫だとは思いますが、常日頃の行動にも注意していきましょう。
チェックされる項目は以下のとおりです。
・前科・犯罪歴(ある程度の年数が経っていれば問題ない)
・破産歴(2年程度経過していれば許可が下りる場合がある)
・重加算税(修正申告する必要がある)
・運転経歴(違反回数の基準は意外と緩い)
・交通事故(民事上の示談をする必要がある)
・納税状況(完納させれば許可が下りる場合がある)
・年金支払い状況(未納状態でも申請できる場合がある)
永住許可のポイント
永住権取得の基準は、実はあまりはっきりしていません。基本的に、その外国人の素行や在留状況を総合的に判断していくことが多いですが、ここでは、中でも重要だと考えられるポイントを3つご紹介していきたいと思います。
ポイント1:日本に長く住むかどうか
日本に永住するなら、日本に長く住むかどうかは重要になってきます。日本の永住ビザを取得しているのに、海外にいる期間の方が長ければ本末転倒ですよね。そうならないように、以下の条件を満たす必要があります。
「10年以上日本に在留し、かつ、就労資格・居住資格を持って5年以上在留していること」
要は、すでに長く日本に住んでいて、ちゃんとした職(アルバイトを除く)に就いていることが条件になります。日本に永住する意思があるかどうかの確認にもなります。
ポイント2:日本で生活できるかどうか
安定した職に就いて、安定的に収入があることも重要ポイントの一つです。「日本で生活したい!」と言っているのに、日本で生活する資金がなければ受け入れも厳しいですよね。年収〇〇万円以上という明確な基準はありませんが、世帯単位で、日本で生活する資金力があるかどうかも判断基準になります。
ポイント3:法律を守るかどうか
永住権を取得するには、かなり厳しい審査がされます。「帰化」の場合と同じですが、法律をきちんと守れる人であるかどうかは非常に大事なポイントです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。日本人になる「帰化」、外国人のままでいる「永住」。
それぞれにメリット・デメリットがあり、許可のポイントも違います。この記事を参考に「帰化」や「永住」に関する理解を深めて、ぜひご自身に合った最適な決断をしてくださいね。