帰化申請の条件「日本語能力」を徹底解説!
帰化して日本国籍を取得する場合、帰化申請に必要な様々な条件を満たす必要がありますよね。これらの条件をきちんと満たして、“よし、これで帰化申請できる!”と思ったそこのあなた。ちょっと待ってください。第7の条件である「日本語条件」も満たしているでしょうか?
このページでは、“帰化する上でどのくらいの日本語能力が必要なのか?”“日本語があまりできていない場合どうなるのか?”など、「日本語条件」に関する詳細をお伝えしていきたいと思います。
帰化申請を検討している方で日本語に不安がある方は、ぜひこのページを参考にしてみてくださいね。
帰化申請に必要な7条件
まず初めに、帰化申請に必要な条件を見ていきましょう。
条件は全部で7つあります。
1.住居条件
引き続き5年以上日本に住むこと。(特別帰化の場合は3年)
2.能力条件
20歳以上で、母国で成人と見なされる年齢に達していること。
3.素行条件
前科や重大な交通違反がないこと。
4.生計条件
日本で生活できる資金力があること。
5.重国籍防止条件
日本国籍を取得すると同時に母国の国籍を喪失すること。
6.憲法順守条件
日本政府を破壊するような団体に属していないこと。
7.※日本語条件
日本で生活できる日本語能力があること。
※「日本語条件」は国籍法には記載されていません。
「住居条件」や「能力条件」などは、“5年以上”や“成人と見なされる年齢に達していること”など、基準がハッキリしていますよね。しかし、「日本語条件」はどうでしょう?
“日本で生活できる日本語能力があること”。
何だか曖昧ですね…。笑
では、実際どのくらいの日本語能力が必要なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
日本語条件ではどのくらいの日本語能力が必要?
結論から申し上げますと、ずばり、小学校低学年レベルです。
日本人として生活していく上で、困らない程度の日本語力は必要だということです。
特に日本の場合は、ご存知かと思いますが“英語が通じない”ところがまだまだ多いですよね。
日本語を使わざるを得ない状況が多いので、自然と日本語能力は身に付いていると思いますが、もし同じ国出身の人とばかりコミュニケーションを取っているのであれば、せめて小学校低学年レベルの日本語は身に付けるようにしましょう。
ポイント!
ちなみに、条件のところでもお伝えしていますが、実は「日本語条件」は国籍法に記載されていません。そのため、厳密に言うと、帰化の条件は「日本語条件」を含まない6つなのです。実際、“日本語ができない外国人の帰化申請を認めない”ということは記載されていません。
しかし、帰化申請をする上で必ず日本語を使うときがあります。
それは、
- ・提出する書類を作成するとき(帰化の動機書は自筆)
- ・法務省での面談のとき
です。
国籍法には載っていなくても、日本人として生活していく上で日本語は欠かせません。だから、7つ目の条件として組み込まれているんですね!
とは言え、小学校低学年レベルの日本語力と言われてもあまりピンっと来ないのではないでしょうか?次項では、小学校低学年レベルの日本語能力がどのくらいなのか見ていきましょう。
結局、日本語で何ができればいいの?
では、結局日本語で何ができればいいのでしょうか?
分かりやすい目安として、日本語能力検定のサイトを参考にしてみましょう。
レベル | 認定の目安 |
---|---|
N1 | 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。 |
N2 | 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 |
N3 | 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 |
N4 | 基本的な日本語を理解することができる。 |
N5 | 基本的な日本語をある程度理解することができる。 |
※参考元:日本語能力試験公式サイト
ご覧のとおり、N5の難易度が一番低く、N1の難易度が一番高くなっています。
N1~N2の具体例としては、読みの場合“幅広い話題について書かれた新聞の論説や評論など、論理的に書かれた複雑な文章を理解できること”、聞き取りの場合“幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュースや講義を聞いて、話の流れや内容などを理解できること”となっています。
何だか難しそうですが、このレベルを目指す必要はありません。日本人の小学生でも、理解することは難しいでしょう。TOEICで言うと800~900点以上でしょうか…。
じゃあどこを目指すかというと、赤文字にしているN3です。
ではここで、N3の具体例を見ていきましょう。
日本語能力試験N3の具体的なレベル感
読み
・日常的な話題について書かれた、具体的な内容の文章を読んで理解することができる。
・新聞の見出しなどから、記事の概要を掴むことができる。
聞き取り
・日常的な場面でやや自然に近い会話を聞いて、内容などを理解することができる。
TOEICで表すと650点くらいでしょうか…。今の時点で基本的な日常会話で困ることがなければ、ほぼ問題ないでしょう。
ちなみに、N3よりも難易度の低いN4やN5では、“ひらがなやカタカナ・基本的な漢字で書かれた語句や定型的な文を理解することができる”ことが求められます。日本語能力に不安がある方は、定型文から覚えていくのが賢明でしょう。
文部科学省の公式サイトでは、小学校で学ぶ漢字を見ることができます。
学年別漢字配当表
また、MARUGOTO Plusというサイトでは、カテゴリー別で日本語を学ぶことができます。
もし、日本語能力が低いとどうなるの?
日本語能力検定の場合は「読み・聞き」ですが、面談では「話す」スキルも必要ですよね。頑張って日本語を勉強したとしても、面談で“日本語能力が低い”と見なされてしまうこともあります。
では、その場合どうなってしまうのでしょうか?
当然のことながら、法務局での面談は日本語で行われます。そもそも、会話の時点で意思疎通ができていなければNGですが、仮に会話になっていても、担当者が“この人の日本語能力はちょっと怪しいな…”と感じた場合、「読み・書き」のテストを実施することがあります。
では、どんな問題が出題されるのか見ていきましょう。
例題
1.ひらがな⇔カタカナの変換
例:らじお→ラジオ / チョコレート→ちょこれーと
2.漢字の読み(音読みと訓読みの区別ができるか)
例:水をのみます(みずをのみます)/ 水曜日(すいようび)
3.簡単な日本語の作文
例:先週の日曜日はどんなことをしましたか?
例:母国のお母さんに手紙を書いてください。
見た限りでは、簡単なテストが実施されている印象ですね。あまり構えすぎることはないと思いますが、もし、このテストでも結果が悪かった場合、“出直してきてください”と帰化申請許可が下りない可能性も十分あります。
テスト対策ではなく、まずは最初から日本語能力に疑問を持たれないよう、帰化申請の段階である程度の日本語能力を要することが大事ですよ!
まとめ
今回は、帰化申請の条件の中の「日本語条件」を詳しく解説していきました。「日本語条件」は国籍法に載っていない内容ですが、甘く見ていると痛い目に遭います。特に、他の条件をちゃんと満たしているのであれば、余計に日本語能力で引っかかりたくはないですよね…。普段あまり日本語を使っていない方は、ぜひ帰化申請の機会を活かして最低限の日本語能力を身に付けるようにしましょう。