帰化申請の取り下げを勧められた場合、素直に取り下げればいいの?
“法務局から帰化申請の取り下げを勧められてしまった…”
“せっかく時間をかけて申請したのに…”
このページに来たということは、少なからずこのような状況にあるのではないでしょうか?このページでは、帰化申請の取り下げを勧められた場合にどうするべきか分かりやすく解説しています。参考になれば幸いです。
帰化申請の“取り下げ”とは?
まず初めに、取り下げとは何か改めて確認していきましょう。
書類を揃えて申請が終わったら、提出された書類を見て「この人を帰化させていいのか」「条件をすべてクリアしているのか」などがチェックされます。もし適していると見なされれば、そのまま申請され、3~4か月後に面談の日程調整の電話が入ります。
しかし、提出した書類で今までの在留状況に問題があると見なされれば、「申請の取り下げ」を勧められます。要は、そのまま申請しても許可されないかもしれないので“今回は見送りにしませんか?”という提案のようなものです。
あくまで提案なので、ここからはあなたが「取り下げる」か「そのまま申請するか」を選択することができます。では、どちらの選択をするべきなのでしょうか?
帰化申請の取り下げを勧められた場合、素直に取り下げる?そのまま申請する?
結論から申し上げますと、“帰化申請の取り下げを勧められてしまった!”という場合は素直に取り下げるのが妥当です。
“せっかく長い時間をかけて書類を揃えたのに…”
“少しでも可能性があるなら申請してしまいたい…”
というお気持ちも分かります。今までの時間は何だったんだ…と落ち込みますよね。
もちろん、取り下げを勧められても帰化申請をすることはできます。しかし、取り下げを勧められるということは、帰化申請の条件を満たせていない、書類の内容と矛盾しているなど、何らかの不備があるということですよね。その状態で申請したところで、帰化許可が下りる確率は限りなくゼロに近いです。
ちなみに、“今までの時間が無駄になってしまうから”と無理に申請して不許可になってしまった場合、法務局に「不許可になった」という記録が残ってしまいます。当然、再申請の際にマイナスに働くことは目に見えていますよね。一方、「取り下げ」の場合も記録には残ります。しかし、「不許可になった」という事実ほど傷は深くありません。
何となく理由はお分かりいただけましたか?上記の理由から、帰化申請の取り下げを勧められた場合は傷が浅いうちにサッと手を引いた方が良さそうです。
補足
この数字を見ると、申請許可が下りる確率はとても高いですよね。平成29年(2017年)の許可の割合は90%を越えています。また、その他の年でも80%前後に収まっていますよね。
年号 | 申請者数 | 帰化許可者数 | 不許可者数 | 許可の割合 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
合計 | 韓国/朝鮮 | 中国 | その他 | ||||
平成25年 | 10,119 | 8,646 | 4,331 | 2,845 | 1,470 | 332 | 85% |
平成26年 | 11,337 | 9,277 | 4,744 | 3,060 | 1,473 | 509 | 81% |
平成27年 | 12,442 | 9,469 | 5,247 | 2,813 | 1,409 | 603 | 76% |
平成28年 | 11,477 | 9,554 | 5,434 | 2,626 | 1,494 | 607 | 83% |
平成29年 | 11,063 | 10,315 | 5,631 | 3,088 | 1,596 | 625 | 93% |
参考元:法務省(帰化許可申請者数,帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移)
しかし、これはあくまで“法務局に申請できた人”だけが反映されています。つまり、“取り下げになった人”は反映されていないということです。
「取り下げ」にならず無事法務局に申請できた人の中でも不許可になった人がいるため、「取り下げ」を勧められた人が無理に申請したところで許可される確率はとても低いんです。
帰化申請の取り下げを勧められるケース
先ほど、“帰化申請の取り下げを勧められたら素直に取り下げた方が良い”ということをお伝えしました。しかしそれ以前に、できるだけ取り下げを勧められないように準備したいですよね。
ここでは、帰化申請の取り下げを勧められる可能性があるケースをご紹介していきたいと思います。申請前に少しでも不安な点があるのであれば、ぜひチェックしてみてくださいね。
(取り下げになる可能性のあるケース)
・書類の提出後、生活状況などが変わり帰化申請の条件を満たせなくなった。
・書類の提出後、海外渡航日数が連続して90日、または1年間の合計で120日を超えてしまった。
・書類の提出後、転職や辞職などにより日本で安定した暮らしができる収入や貯金がなくなってしまった。
・書類の提出後、審査に影響を及ぼすくらいの交通違反・法違反をした。
・活動時間をオーバーしている資格外活動があった。
・日本人になりたい理由が適切ではなかった
・転居歴の記載が曖昧になっていた
上記のとおり、書類の提出後に生活状況が変わってしまうことで、帰化の条件を満たせなくなっているケースが見受けられます。※取り下げの理由は公表されておらず具体的な理由は分からないため、あくまで一例として参考にしていただければと思います。
書類を提出する前の段階では大丈夫だったけど、書類を提出した後にやむを得ず生活状況が変わってしまうことは十分あり得ます。申請に支障をきたさない程度の変化であればいいのですが、できるだけ状況が変わりそうなタイミングを避けて帰化申請することが大事です。
取り下げてから再申請の期間はどのくらい?
“とりあえず素直に申請を取り下げたけど、再申請するのにどのくらい待てばいいの”と疑問に感じている方もいらっしゃるかと思います。
先に答えを言うと、原因が改善され次第です。どのくらいの時間を要するかは取り下げの原因になった理由にもよりますが、目安として短くて1~2年・長くて5年以上時間をおくこともあります。
一度取り下げになると、これだけの期間待たないといけないんですね。ちなみに不許可の場合はもっと改善に時間を要します。取り下げは不許可の場合よりは傷が浅いとはいえ、帰化申請自体なかなかの長期戦なんですね。まずは「取り下げ」にならないよう準備することが大事ですが、すでに取り下げを勧められた場合は素直に取り下げて、再申請のための準備をしましょう。
再申請するなら、専門家に依頼するのが確実
ご存知かと思いますが、帰化申請の必要書類はとても多いですよね。原因を改善して再申請するとなれば、また一から書類を収集・作成しなければなりません。それ相応の時間がかかるでしょう。
そこでおススメしたいのが、行政書士や司法書士などの第三者に依頼すること。よく、“帰化申請は一人でできる!”というサイトもありますが、正直 “その人による” というのが正しいかと思います。割と時間に余裕があって性格も几帳面で、公的文書を読み慣れている人であれば一人でもできるかもしれませんが、仕事の都合上あまり時間を割けない、結構大ざっぱなところがあるという方は、思い切って任せてしまうのが得策です。
選ぶ基準としては、
・帰化申請に力をいれているかどうか
・親身になって話を聞いてくれるかどうか
・サービス内容をきちんと説明してくれるかどうか
などです。
料金の相場は大体15万円~25万円くらいなので、もし、あまりにも料金が安い事務所があるのなら、なぜ安いのか、どのくらいのサービスを提供してくれるのかしっかり話を聞いた方がいいでしょう。
まとめ
今回は、「申請の取り下げ」を勧められた場合どうするべきかをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?帰化申請には、多くの時間とエネルギーを使います。せっかく申請するのなら一発で終わらせたいと思うかもしれませんが、「取り下げ」を勧められたらまずは素直に取り下げる。その後、原因を突き止め改善してから再申請に挑むのが、遠回りに見えて実は近道だったりします。帰化申請は、長い目で見ることが大事ですよ。