在日韓国人・朝鮮籍の方の帰化申請の条件と流れ

在日韓国人・朝鮮籍の方で帰化を検討している方もいるかと思います。

特別永住者なので多少条件は緩和されますが、

 

“帰化申請の条件って何だろう…?”

“どうやって申請すればいいんだろう…?”

 

と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?そこで今回は、在日韓国人・朝鮮籍の方の帰化申請の条件や流れを一通り解説していきたいと思います。

 

ちなみに、帰化の種類は「普通帰化」「特別帰化(簡易帰化)」「大帰化」の3種類あり、在日韓国人・朝鮮籍の方はこの内の「特別帰化(簡易帰化)」で帰化申請をすることができます。※今回の記事は「特別帰化(簡易帰化)」に特化した内容になっています。

特別永住者の帰化申請の条件

最初に、特別永住者の帰化申請の条件を確認していきましょう。

以下に記載しているものが、満たすべき条件です。

1.居住条件

2.能力条件

3.素行条件

4.生計条件

5.重国籍防止条件

6.憲法順守条件

7.日本語能力条件

では、それぞれ下記で解説していきたいと思います。

1.居住要件…引き続き3年以上日本に住んでいること。

居住要件では“日本での居住が安定しているか”をチェックされます。「普通帰化」の場合5年ですが、「特別帰化(簡易帰化)」の場合は3年に緩和されています。ちなみに、もし日本人の配偶者で婚姻関係が3年以上続いている場合は、連続して1年以上日本に住んでいれば帰化申請することができます。

2.能力条件…日本と本国で成人と見なされる年齢に達していること。

少なくとも20歳以上、21歳が成人の国であれば21歳になれば、単独で申請することができます。(未成年の場合は、保護者と一緒であれば申請することができます。)

3.素行条件…素行が善良であること。

素行条件では、“本当にこの人を日本人にしても良いのか?”“真面目な人柄なのか?”が様々な項目からチェックされます。例えば、前科の有無や交通違反の有無です。交通違反に関しては、小さい違反であれば過去5年間で4~5回程度は許容範囲と言われています。

4.生計条件…日本で生活できる経済力があること。

帰化したときに、“日本で生活できる経済力があるかどうか”はとても重要なポイントです。年収〇〇円という目安はありませんが、帰化してすぐに生活保護に頼るようでは、帰化申請は難しいでしょう。一応、年収300万円以上を目安にしておけばいいと思います。※年収300万円以下でも許可が下りた事例はあります。

5.重国籍席防止条件…日本の国籍を取得することによって本国の国籍を失うこと。

日本では、重国籍が禁止されています。必ず一つの国籍に絞らなければなりません。そのため、帰化して日本国籍を取得するのであれば、母国の国籍を放棄することが求められます。※アルゼンチンなど、国籍の離脱ができない国の場合は特別に重国籍が認められる場合があります。

6.思想条件…日本政府を暴力で破壊しようとする団体を結成・加入したことがないこと。

イスラム国(ISIS)など、日本を破壊するような思想を持っている団体に加入している(していた)場合、申請許可は下りることは難しくなります。また、家族が暴力団やテロ組織に加入している場合も、審査ではマイナスになります。

7.日本語能力条件…最低限の日本語能力を有すること。

実は、日本語能力条件は国籍法には記載されていません。しかし、帰化申請後の面接は日本語で行うため、ある程度の日本語能力は求められます。

 

7ステップで完了!帰化申請の流れ

満たすべき条件が分かったところで、次は帰化申請の流れを確認していきましょう。

帰化申請から帰化許可が下りるまでの流れは、ざっくりと以下のとおりです。

1.法務局に事前相談をする

2.必要書類の収集や作成

3.申請書の提出

4.面談

5.調査

6.官報告示・審査結果の連絡

7.外国人登録証明書の返却・帰化届の提出

では、それぞれの詳細もチェックしていきましょう。

1.法務局に事前相談をする

帰化申請をすると決まれば、まずは帰化申請できる状況か法務局へ相談しに行きましょう。電話で予約する際にざっくりとした内容を質問されると思うので、すべての質問に正直に答えましょう。電話が終わり無事予約できれば、予約した日時に法務局へ出向きます。この段階で“帰化申請できる”と分かれば、法務局から今後の手続きについての話があります。

また、相談する際に持って行く書類も確認しておきましょう。

・身分関係説明図

・特別永住者証明書や在留カード

・パスポートor再入国許可書

・運転免許証(あれば)

2.必要書類の収集や作成

法務局で必要な書類が記載された冊子をもらえると思うので、その内容に沿って書類の収集・作成をしましょう。

参考までに、用意する書類は以下のとおりです。

必要書類一覧

本国や日本の役所で取り寄せる書類

帰化する本人が作成する書類

住民票の写し

帰化許可申請書

国籍を証明する書類

親族の概要を記載した書類
(除籍謄本or登録事項別証明書)

親族関係を証明する書類

帰化の動機書

納税を証明する書類

履歴書

収入を証明する書類

生計の概要を記載した書類

公的年金保険料の納付証明書

事業の概要を記載した書類

 

そう。取り寄せる書類と自分で作成する書類の2種類あるんです。収集できる場所は、「市役所や区役所」・「法務局」・「本国」などです。ちなみに、作成する書類の中で一番重要な書類は「帰化の動機書」です。“なぜ日本人になりたいのか?”を自分の言葉で書く必要があるため、第三者に代行してもらうのはやめましょう。

 

<補足>

用意する書類は案外多いです。もし一人で準備するのが難しい場合は、行政書士や司法書士に依頼するのも一つの手です。圧倒的に時間を短縮できるだけでなく、帰化許可される確率も上がります。ちなみに、依頼する際の相場は15万円~25万円となっているため、お金に余裕があれば依頼することをおススメします。

3.申請書の提出

書類が揃えば、いよいよ帰化申請書の提出です。法務局にて、申請できるかどうか収集・作成した書類をチェックしてもらいます。

4.面談

書類を提出しておよそ3ヵ月~4カ月後(人によります)に、面談の日程調整をする旨の電話が法務局からかかってくるので、決めた日時に法務局へ出向きましょう。法務局では、日本語で面談が行われます。このとき、“この人日本語大丈夫かな…”と心配されると、読み書きのテストを実施されることもあります。

5.調査

面談が終わり次第、書類の内容や面談の内容に嘘がないか、様々な調査をしています。この期間が短い方もいれば、半年以上かかる方もいます。

6.官報告示・審査結果の連絡

申請許可が下りた場合、先に官報に帰化者の氏名と住所が載ります。その後、法務局から審査結果の連絡が届きます。※許可が下りなかった場合も連絡は来ます。

7.在留カードの返却・帰化届の提出

無事帰化許可が下りた方は、今までの在留カードを返却しなければなりません。しかも、官報に告示されてから7日以内です。結構早いので、返却するまで気を抜かないようにしましょう。また、帰化届は1ヵ月以内に提出です。

※返却が遅れた場合は罰金が発生することがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、在日韓国人・朝鮮籍の方の帰化申請についてお伝えしていきました。

 

特別永住者の方は「特別帰化(簡易帰化)」で帰化申請できるとはいえ、用意する書類はかなりたくさんあります。用意を怠って審査に落ちないよう、しっかりと準備して申請に臨んでくださいね!