帰化と永住ビザの違いは何?10つの観点から徹底比較

「帰化」・「永住ビザ」、何となく理解できている方は多いと思いますが、具体的に何が 違うのでしょうか?この記事では、帰化と永住ビザの違いを以下の10個の観点から比較していきたいと思います。

 

1. 国籍

2. 戸籍

3. ビザの更新

4. 在留カードの更新

5. 就職
6. 参政権

7. パスポート

8. 再入国許可

9. 強制退去のリスク

10. ローン・融資

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

 

はじめに、「帰化」と「永住ビザ」について簡単に理解しておく必要があります。

帰化・永住ビザってなに?

(帰化とは)

帰化とは、日本国籍を取得して、日本人として生活していくということです。残念ながら、日本では2つ以上の国籍を持つ多重国籍は認められていません。そのため、日本国籍を

取得するということは、自動的に自国の国籍を捨てることになります。

※アルゼンチンのように国籍の離脱ができない国の場合、例外として多重国籍が認められる場合があります。

(永住ビザとは)

永住ビザを取得すると、日本に永住できるようになります。ただ、国籍は自国のままなので、日本では外国人として生活していくことになります。

【帰化と永住ビザの違いはこの10個!】

「帰化」と「永住ビザ」の意味は何となく分かりましたか?この項では、「帰化」と「永住ビザ」を10個の観点から徹底比較していきたいと思います。“日本に長く住む”という意味では変わりありませんが、それぞれの中身は大きく違うんです。では、さっそく見ていきましょう。

1. 日本国籍か外国籍か

まずは、国籍です。先ほどご紹介したとおり、「帰化」の場合は自国の国籍を捨て、日本国籍を取得します。日本国籍を取得した時点で日本人となるので、帰化申請の許可が下りた場合は、日本人として生活していくことになります。

それに対し、「永住ビザ」の場合、日本国籍は取得しません。日本に永住できるとしても、あくまで日本人ではなく外国人として生活していくことになります。ちょっとややこしいですが、何となくお分かりいただけましたか?

 

・帰化=日本人

・永住ビザ=外国人

 

とだけ頭の片隅に入れておいてくださいね!

2. パスポート

1と少し被りますが、日本国籍を取得できる「帰化」の場合、当然日本のパスポートで海外に出国することができます。そして「永住ビザ」の場合は、自国のパスポートのままです。日本のパスポートは信頼性が高くビザが必要ない国も多いので、旅行のときにとても便利だと感じている方は多いようですよ。「帰化」には意外なメリットがあるんですね!

3. 戸籍

戸籍も重要な観点ですね。結論から言うと、「帰化」の場合は市役所に届け出を出せば自分の戸籍を持つことができます。対して「永住ビザ」の場合、自分の戸籍を持つことはできません。※“戸籍”と言われてもあまりピンっと来ないと思いますが、親子関係や婚姻関係など、要は自分の身元を証明するものです。「永住ビザ」は外国人として生活するので、日本に戸籍を持つことができないんですね。

4. 参政権

選挙に参加することができる“参政権”。日本国民として当然の権利ですよね。「帰化」の場合、日本人として生活していくので、もちろん参政権があります。また、議員に立候補することもできます。対して、残念ながら「永住ビザ」の場合は参政権がありません。いくら日本に長く住むと言ってもあくまで外国人なので、日本の政治に参加する資格は基本的にないようです。ただ、参政権ではないですが、自治体での住民投票などでは、外国人の住民投票が認められているケースがあります。

※外国人と言っても日本の政治の影響を少なからず受けているわけなので、外国人にも参

政権を!という声もあるようですが、今のところはまだ認められていません。

5. 就職や転職

おそらく気になるであろう就職や転職について。「帰化」も「永住ビザ」も、基本的に職業に縛りはなく、日本人と同じように働くことができます。“基本的に”と言ったのは、「永住ビザ」では、国家公務員や政治家などの日本の政治に直接関わりそうな職種には就くことができないからです。また、雇用者側に外国人を雇う知識がない場合、日本人の方が雇いやすいという理由で断られることもあるようです。何だか理不尽ですが・・・。就労ビザなど他のビザよりは職種が幅広いですが、一部まだ制限があるといった感じですね。ちなみに、「帰化」の場合は日本人なので、文字通りどの職種でも就くことができます。

6. 在留カード

外国国籍の方が日本に滞在するためには「在留カード」というものが必要ですよね。そして「永住ビザ」の場合、一生日本に住むと言っても7年に一度在留カードの更新が必要で
す。

永住ビザの許可が下りても更新するなんて・・・と思うかもしれませんが、更新しないとせっかく取得した永住ビザが失効になるので注意しましょう。一方、日本人となる「帰化」の場合、在留カードが不要になるので在留カード・特別永住者証明書を管轄する入国管理局へ返却しなければなりません。期限は、申請許可の告示から14日以内です。

7. 強制退去のリスク

こちらも重要な観点です。「帰化」の場合、法律に反するような罪を犯したとしても強制退去のリスクはありません。というか日本人なので、そもそも日本国外に追放することができません。そのため、日本の刑務所に入れられることになります。しかし「永住ビザ」の場合は違います。日本にどれだけ長く住んでいるとは言え国籍は外国なので、法に反した場合、“日本にはもう来ないでくれ!”といった強制退去のリスクがあります。普通に生活していれば強制退去になることはありませんが、両者でここまで対応が違うということは覚えておきましょう。

8. 帰省

家族や友達に会うために一時母国に帰省することもありますよね。「永住ビザ」の場合、国籍は母国のままなので問題なく帰省することができ、手続きも簡単です。対して「帰化」の場合、母国であっても国籍は日本なので、国によってはビザが必要になる場合があります。ただ、日本のパスポートを持っているとビザが必要ない場合が多いので、そこまで心配する必要はないと思いますよ。母国に帰るのにビザが必要なんて・・・と思うかもしれませんが、国籍を変えるということはそういうことなんだと腹を括りましょう。

9. 日本語能力

「永住ビザ」の場合、日本語能力は関係ありませんが、「帰化」の場合は、最低でも小学校低学年レベルの日本語能力が求められます。面談の段階で基礎的な日本語を見られる場合が多く、ちゃんと日本で生活できるかどうかが判断されています。

日本人になるならそれ相応の日本語能力を、ということなのかもしれませんね。「永住ビザ」は日本語能力が求められていないと言いましたが、英語が通じない日本で生活する上で、最低限の日本語能力は必要です。関係ないからと言って学習を怠ると、後々生活に困ることになってしまいますよ。

10. 申請期間

把握しておいて損はないのが申請期間です。それぞれどのくらいかかるのか何となく理解しておくだけでも、気が楽になりますよ。

「帰化」の場合、実は明確に〇ヵ月!と基準があるわけではありません。6ヵ月で許可が下りる人もいれば、1年6ヶ月かかってやっと許可が下りる人もいます。1年も違うなんて不公平だ!と思うかもしれませんが、こればかりは仕方のないことと受け止めるほかありませ
ん。

一応目安として、必要な書類の収集に1ヵ月、書類を申請してから面談までが2~3ヵ月、面談後の審査期間が3~6ヵ月と見ておくといいでしょう。

「永住ビザ」の場合も、不便なことにはっきりと〇ヵ月!とは記載されていません。

ただ、6~8か月で許可が下りる場合が多いようです。最近は申請数が増えているため、処理が追いつかなくなっているのかもしれませんが、何となく8ヵ月以内と覚えておくといいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。10個の観点から「帰化」と「永住ビザ」と違いを比較してきましたが、何となく理解できましたか?

 

「日本に住む」という共通のことを除くと、多くの違いがありますよね!この記事を参考に、それぞれのメリット・デメリットを理解して、最適な決断ができることを祈っております。