中国人が日本国籍(帰化申請)を取得するメリット

近年、日本国籍を取得する中国人が増えていますよね。もちろん、メリットがあるから帰化申請するわけですが、具体的にどんなメリットがあるのかご存知でしょうか?

このページでは、中国人が日本国籍を取得するメリットを分かりやすく解説していきたいと思います。帰化を検討している方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

帰化申請者と帰化許可者数

まずは、どのくらいの中国人の方が帰化許可されているのか見ていきましょう。

 

年号 申請者数 帰化許可者数 不許可者数 許可の割合
合計 韓国/朝鮮 中国 その他
平成25年 10,119 8,646 4,331 2,845 1,470 332 85%
平成26年 11,337 9,277 4,744 3,060 1,473 509 81%
平成27年 12,442 9,469 5,247 2,813 1,409 603 76%
平成28年 11,477 9,554 5,434 2,626 1,494 607 83%
平成29年 11,063 10,315 5,631 3,088 1,596 625 93%

参考元:法務省(帰化許可申請者数,帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移)

 

2017年のデータだと、3,088人。およそ帰化許可者の3分の1が中国人の方ですね。やはりアジア圏だけあってかなり多い印象です。

 

では、中国籍から日本国籍に変わることのメリットは何なのでしょうか?

中国人が日本国籍を取得する6つのメリット

さっそく、6つのメリットを確認していきましょう。

 

1.選挙権・被選挙権を取得できる

2.警察や役所などの公的機関への就職が可能になる

3.日本のパスポートなので、ビザなしで渡航できる国が増える

4.日本の出入国が自由になり、再入国許可が不要になる

5.住宅ローンや自動車ローンなどの融資を受けやすくなる

6.強制退去のリスクがなくなる

 

では、一つずつ詳細を見ていきましょう。

(1. 選挙権・被選挙権を取得できる)

一つ目のメリットは、日本の選挙権・被選挙権を取得できるということです。日本国籍を取得するということは、文字通り“日本国民”として生きていくことになりますよね。そのため、日本国民に与えられる選挙権を取得することができるのです。また、みんなの代表として選挙される側に立つ被選挙権も得られます。

ちなみに、永住ビザでは選挙権を取得することができません。外国人の中には“税金を払っているのに選挙権がないのか…。”と感じる方もいるようですが、帰化をすればそのような不満が生まれることはないでしょう。

(2. 警察や役所などの公的機関への就職が可能になる)

二つ目のメリットは、職業選択の制限がなくなることです。永住ビザでは、在留活動にほとんど制限がなくなるものの、“警察や役所などの公的機関への就職はできない”といった一部の制限はかかっていますよね。日本側からすると“外国人に国家に関わる仕事に就かせることはできない”といったところでしょうか…。何だか大人の事情を感じますね…。

しかし、日本国籍を取得すると日本人と同等の待遇になるため、公的機関を含むどんな職にも就くことができます。そもそも公的機関に就職するつもりがない方にとってはあまりメリットに感じないかもしれませんが、“その国のどんな職業にも就くことができる”というのは、一国民として受け入れられた証拠ですよね。やはり、大きなメリットだと言えるでしょう。

(3. 日本のパスポートなので、ビザなしで渡航できる国が増える)

三つ目は、ビザなしで渡航できる国が増えることです。中国人が日本人国籍を取得する理由で一番多いのがこれではないでしょうか。ここで、ビザなしで渡航できる国の数ランキングを見ていきましょう。 

 

順位

国名

ビザなし渡航
可能国数

1

日本 / シンガポール

180

2

ドイツ

179

3

デンマーク / フィンランド / フランス / イタリア / スウェーデン / スペイン / 韓国

178

4

ノルウェー / イギリス / オーストリア / ルクセンブルク / オランダ / ポルトガル

177

5

スイス / アイルランド / アメリカ / カナダ

176

6

ベルギー / オーストラリア / ギリシャ

174

7

ニュージーランド / チェコ / マルタ

173

8

アイスランド

172

9

ハンガリー

171

10

ラトビア

170

 

とりあえずトップ1位~10位まで。何と日本&シンガポールが1位にランクインしています。後はヨーロッパの国々、アジアでは韓国がランクインしていますね!あれ、中国はどこ…?

 

このまま順番に見ていくと大変なので、中国のところまで飛ばしていきましょう。

 

74

中国 / ウガンダ

64

 

ありました!74位です。今まであまり意識したことはなかったのですが、国の信頼度ってこういったところに顕著に出てくるんですね…。

日本の場合、ビザなしで渡航できる国が180ヵ国 / 196ヵ国なので、ほとんどすべての国でビザは不要ですね。対して、中国の場合は64ヵ国 / 196ヵ国なので、3分の1程度でしょうか…。ビザの手続きはかなり面倒なので、海外に行くために日本のパスポートが欲しくなるのも頷けます。

(4.日本の出入国が自由になり、再入国許可が不要になる)

四つ目のメリットは、日本の出入国が自由になり、再入国許可が不要になることです。これは結構大きなメリットではないでしょうか?

永住ビザの場合は、一度取得しても5年以上日本を出国すると、永住権がなくなる可能性があります。また、1年~5年の場合は再入国許可が必要になります。そのため、永住権を取得した後海外に転勤になった場合、“せっかく永住ビザを取得したのに!”となってしまうこともあるのです。“日本に長く住んでいるけれど、再入国許可は面倒だなぁ…”という中国人の方にとって、日本国籍を取得するのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

<注意>

日本に帰化したあと海外に住む方もいるようですが、これに対して法務省は大変ご立腹です。→ そのせいで帰化審査が厳しくなっているとも言われています。

あくまで“日本に住む意志がある”という条件の下での帰化なので、“とりあえず日本人になってから海外に移住しよう”と考えるのはやめましょう。

(5.住宅ローンや自動車ローンなどの融資を受けやすくなる)

五つ目のメリットは、社会的信用が上がるため、日本人と同等に住宅ローンや自動車ローンなどの融資を受けることができます。銀行側としても、いくら長いこと日本に住んでいるからといって、いつ本国に帰国するか分からない外国人にお金を貸して貸し倒れになってしまうのは困りますよね…。

帰化では、審査段階で経済力や素行をチェックされているため、すでに一定の審査をクリアした社会的信用の高い人が帰化許可されています。そのため、銀行としても“この人になら融資ができる”と判断しやすくなるんですね。

もちろん、融資をする際は信用情報をチェックするため、必ずしも融資が通るとは言い切れませんが、少なくとも帰化する前よりは通りやすくなりますよ。

(6.強制退去のリスクがなくなる)

最後は、強制退去のリスクがなくなることです。日本国籍を取得するということは、日本人になるということです。そのため、どれだけ重大な罪を犯しても強制退去のリスクはありません。罪を犯した場合は日本の刑務所に入れられます。

ちなみに就労ビザや家族滞在ビザでは、重大な罪でなくても、就労ビザで資格外活動をしていた、ビザの更新を忘れて不法在留になってしまったという場合は強制退去の対象になります。

まとめ

今回は、中国人が日本国籍を取得するメリットをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。おそらく、一番大きいメリットは“ビザなしで渡航できる国が増える”というところではないでしょうか。

 

日本国籍を取得すると多くのメリットがありますが、同時に中国国籍を失うということも忘れてはいけません。中国でビジネスがしたい、将来は中国へ帰るという場合は中国国籍のままの方が良い場合もあるので、よく検討した上で帰化申請をしましょう。